【レポート】アクティブラーニングの先にあるもの。ーエンゲージメント学wsを開催しました!

7月の終わり、夏真っ盛りの京都大学で開催される「大学生研究フォーラム」に今年も参加しました。(昨年は大阪に住んでいたので、「おけいはん」で行ったのが懐かしい…。)

今年は、フォーラム前日に開催される【チュートリアルセッション】で1つのワークショップの講師を担当せよというミッションをいただき、東京大学中澤明子先生と一緒に「エンゲージメント学」ワークショップを担当させていただきました。【チュートリアルセッション】とは、まだ「ほにゃらら学」としては成り立ってはいない、けれども、学術的に重要かつ最先端と思われる知見について学ぶセッションとして今年から始めたセッションだそうです。

ここでは、中澤先生と構成を考えた「エンゲージメント学ws」でどんなことが行われたか、簡単にレポートしようと思います。

kanban

エンゲージメントと聴いて、頭に「?」が浮かばれる方の方が多いと思います。「婚約」という意味ではないんです。

今回のwsでは、エンゲージメント学を「学習者を授業に巻き込む教授法」として紹介しました。ワークショップをとおして、エンゲージメントの定義や効果について理解し、エンゲージメントを高める授業を行う際のコツを持ち帰ってもらうことを目的としました。

今回のws参加者の皆様は、大学やその他の実践の現場で教える経験をしている方が多数だったので、自身の経験を元にエンゲージメントを高める技法について理解を深めてもらうようにしました。

wsの内容は大きく4つのパートに分けました。

1、wsでグループワークを進める上でのレディネスづくり(趣旨説明、自己紹介など)
2、ミニレクチャーでエンゲージメントを知る(中澤先生による最新まとめ!)
3、エンゲージメントを高めるためのコツ、ティップスを考えるアクティビティ(ワークシートに書き込んでポスター発表、我妻ファシリテート)
4、まとめとふりかえり

学術的な理論や海外(主に米国の研究です)からの報告書からの知見と、明日からの実践で使えるコツをつなげて持ち帰ってもらうことを目標にして、活動を組みました。構成を考えるにあたり、中澤さんとは、このws自体が、参加者がエンゲージできる(巻き込まれる、没頭できる)ものであるようにしようというビジョンで作っていきました。

エンゲージメントの最先端レクチャーの具体的な内容の紹介は、また別の機会ができそうなのでそこに見送るとして、エンゲージメントとは、私的ワンワードで言うと(言えてないけど)、

学習者が、
安心して楽しく(感情)
頭をフル回転させて(認知)
学習に取り組んで(行動)
いますか?
そういう環境や機会を提供していますか?

という問いかけです。

最近はアクティブラーニングを目指そうという動きが高まっています。エンゲージメント学では、アクティブラーニングはエンゲージメントのための手段であり、目指すのは学生が没頭している状態、引きこまれている状態であるエンゲージメントである、と考えます。

つまり、「エンゲージメント」という視座で見れば、学生が熱中する講義型授業をしている教員も、ぜんぜん「あり」なんです。え、それってアクティブラーニングやないんとちゃう?というツッコミがあるかもしれませんが、学生がエンゲージしていることが重要であり、無理やりグループワークをする必要はないし、グループワークを取り入れるのであればエンゲージメントが高まるように「よく考えられなければならない」のです。

 

学生がエンゲージメントしているかどうか?という視座で実践を分析してみると「なにか抜け落ちていないかな」という気付きを得られるかもしれません。

最後に。

ws参加者のみなさま、かなり積極的にワークにも取り組んでいただけて、また事後アンケートも貴重な意見を多々いただけてほっとしました。

参加者のおひとりで唯一知人であったヒメが当日その場のむちゃぶりに答えてくださって、グラフィックレコーディングをしてくださいました。この日は博多から遠方参加ということで、グラフィックグッズを持ち合わせていらっしゃらないにも関わらず、このできばえ!一目で可視化されて振り返りに最適ですね。

★ひめのグラフィックレコーディング

hime

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(実は会場には、ヒメの他にも、グラフィックにメモを撮られる方が複数名いらして、うろうろしながら、興味深く観察してしまいました。はやってるのかしら、最近。)

 

★おまけ。
講師からのネタばらし。(じらした)
エンゲージメント学wsに取り入れたティップス を紹介します〜。

◎講師自身の自己紹介
わたくし自身は、修士の頃、大学生の学習観変容、協調学習のデザインに関心を持って研究をしていたので、その関心とつながっていますよ、というバックグラウンドをお話しました。
◎持ち帰れるお土産がある(中澤先生と作成した、エンゲージメントのためのティップスを配布)
◎レクチャーとワークの組み合わせ
◎個人ワークとグループワークの組み合わせ
◎BGMでリラックス
◎おかしコーナーが充実!無事、完売!(売ってないけど…)
◎事前アンケート
グルーピングに反映しました
◎事後アンケート
エンゲージメント学の発展のために理解度、満足度をたずねました。講師の振り返りに活用しています。

最後になりましたが、
企画にお声がけいただいた、主催者である京都大学溝上先生、東京大学中原先生、
そして、スムーズな協同作業をリードしてくださった東京大学中澤明子先生、
気持よくお仕事させていただき、ありがとうございました!
また、関わってくださった全てのスタッフのみなさまに感謝致します。