大学院を卒業してから、(図らずも、そして、ありがたいことに)、いくつかのお仕事についてきました。
組織の中で働くだけでなく、個人的な依頼を受けてお仕事をいただくこともあります。
日々の「働く」ことについて、少し立ち止まって考えるとき、いつも思い出すフレーズがあります。
それは、「いただくお金よりもちょっとだけ多く働くこと」ということ。よしもとばななさんの、エッセイに書かれていた一節です。
この一節にとても説得力があって、心に残り、心がけています。
久しぶりに、そのエッセイを引っ張り出してきて読んでいるので、少し長くなりますが、引用します。
「結局は、どこまで己を捨てず己を愛しながら、ちょっとてきとうさも取り入れ、完璧だという評判から常にダッシュで逃げつつ「もらうお金よりもちょっとだけ多く働くか」です。
多く働くのはちょっとだけでいいのですが、お金分ちょうどだけ働いていると、上司は必ず気づきます。そしてさぼっている印象を実際の働き以上に与えてしまう。
もらっている額よりもちょっとだけ多く働く、そこがコツです。
それが超安くても、高くても、その法則は変わりません。
安いからって手抜きをするとものすごくマズイことになるし、高いからって安定して力を抜くと、いつかはつけは回ってきます。
社会に出て働くということは、自己実現のためではありません。自己実現のためと思っていると、いつの間にかまわりから人がいなくなります。
自分の能力を他に還元する、という人類の本質的な欲望が、働くということです。
ちょっとだけ多く与えるという目的に働きぶりがそっていれば、それは自然の流れにかなっているということになるので、たいがいの場合は大丈夫です。」
p73−74、よしもとばなな、『Q人生って?』
明日もお仕事、がんばろう。