<翻訳>2015年に押さえるべきオンライン学習 10のトレンド

新春ことしもよろしくおねがいします!

研究・学習にまつわる海外の記事を紹介するブログシリーズ第2弾です。

オンライン学習関係者は必見!
昨年11月の記事(MOOC世界旅行のススメ 〜HarvardXとMITxを肴に〜)に引き続き、オンライン学習関連の記事を紹介します。

では早速!

2015年に押さえるべき、
オンライン学習にまつわる10のトレンド

写真 2

2015年もオンライン学習への転換が更に加速することが予測されます。
今年トレンドになりそうなe-learningの動向とはどんなものでしょうか?

オンライン学習の手法は日々発展し多様化していますし、テクノロジーの進化に伴ってオフラインの教室の様子も変わってきています。2015年、注目されるであろうオンライン学習にまつわるトレンドキーワードを紹介します。

たしかに、オンライン学習の波は私の周りでもザブンザブンしています。

昨年のEDUCAUSEキーノートで、『イノベーションのジレンマ』の著者のクリステンセン教授(ハーバードビジネススクールの教授)は、高等教育はmassive disruptionを迎えると指摘したそうです。まさに、disruptive innovation !(日本語では「破壊的イノベーション」と訳されています。)

2014年10月に開催されたEDUCAUSE2014(大学等における情報通信技術(ICT)利用促進を目的に教育機関や企業により結成された米国団体)のオープニングキーノートで、ハーバードビジネスビジネススクール教授のクレイトン・クリステンセン氏は、オンライン学習の出現によって、高等教育は大規模な変革を覚悟しなければならないと指摘しました。

修行不足で、学習管理システムがこんなに盛り返して?いるとは知りませんでした。

また、EDUCAUSE2014では、学習管理システム(LMS:Learning Management System)の事業をリードする2つのプラットフォームの担当者から、LMSの製品がクラウド環境への大規模な移行が行われることが発表されました。

▼紹介された2つの学習管理システム(LMS:Learning Management System)
Canvas Commons
●Blackboard Learn

さて。ここからが今回の記事の本題です。

クラウド環境での学習管理システムを提供しているTalentLMSが2015年に押さえるべきe-learningの10トレンドをインフォグラフィックで紹介しています。

1、ビッグデータ BIG DATA

e-learningの人口は増加し続けています。
これまでの処理手法では、ユーザーのデータ分析は不可能になります。

●ビッグデータ分析でe-learningはどのように改善されるか?

−学習プロセスの詳細な分析が可能です。学習時間や成績の統計を取得できます。
−学習者のウェブ上での操作プロセスをサポート可能です。教材の画面のどこをクリックするかなど観察できます。
−学習者にあわせて教材をパーソナライズできます。
−フィードバックの分析が可能です。学習者がどこでつまづくか分かります。
−様々な情報を組み合わせて学習の費用対効果を分析できます。

2、ゲーミフィケーション GAMIFICATION

ゲーミフィケーションとは、ゲームの手法やゲームをデザインする技術を応用して学習者を目標の達成に引き込んだりモチベーションを高めたりするための概念です。

●なぜゲーミフィケーションが重要なのか?

学習者は、読んだことの10%、聞いたことの20%しか思い出すことができません。
しかし、口頭によるプレゼンテーションに視覚的な刺激が加わることで30%、
また、説明者による何らかのアクションが加わると50%、
シミュレーションであっても学習者自身がタスクを行うと90%に、
学習成果を高めることができます。

 

3、パーソナライズ PERSONALIZATION

パーソナライズされた学習とは、教育を学習者個人個人の特徴やニーズ、意欲、学習環境にあわせて適応させたものです。

●パーソナライズされた学習の特徴とは?

学習者自身の好みによって、学習の速度を調節したり、学習方法を工夫したり、学習の軌道を学習者自身が選んだり、学習形態をテキストや音声やビデオから選べたり、興味や経験を刺激することができます。

 

4、モバイルラーニング M-LEARNING

モバイルでバイスの革新はますます進んでいます。今後は、モバイルデバイスが学習機器として手中になるでしょう。

●モバイルラーニングの利点とは?

−簡単にアクセス可能。どこでも、いつでも必要なときにアクセスできます。
−状況にあわせて学ぶことができます。QRコードやGPSなどテクノロジーの進化によって、学習者の居場所やリアリティに即した学習を提供できます。
−理解しやすい学習内容を提供します。モバイルデバイスは画面が小さく情報が細切れになるため、学習者が学んだことを思い出しやすいような理解しやすい学習内容となります。

 

5、学習の費用対効果への関心
FOCUS ON RETURN-ON-INVESTMENT

学習の費用対効果とは、学習にかかる労力に対して、どのような効果を得ることができるのかを比較することです。eLearningに注目が集まれば、これまで算出が難しかった費用対効果にも関心が高まるでしょう。

●費用対効果を算出するときに考えることとは?

費用:担当教職員(インストラクショナルデザイナーや事務担当)、テクノロジー(ITインフラ、LMSなど)、学習内容(対面授業やビデオ教材)、その他のコスト
効果:旅費節約、研修費用節約、研修に掛かるロジスティクスの節約

 

6、アプリプログラミングインターフェース APIs

アプリプログラミングインターフェース(APIs Application Programming Interface)を使うことで、自分でプログラミングをゼロからすることなくソフトウェアを作成することができます。eラーニングにおける共通化のための標準規格であるSCORM(スコーム)やTinCanが有名です。

●APIsをeLearningで活用する場面とは?

−LMSに新しいユーザーが来たとき>履歴に記録する
−学習者が授業の受講を終えたとき>インストラクターにメールが届く
−学習者が修了証を得たとき>学習者のLinkedinにシェア
−新しい授業コースができたとき>ユーザーにニュースレターが届く

 

7、自動化 AUTOMATION

授業を作るのはとても手間が掛かります。学習内容を作る方法を自動化することができれば、オンライン講座の質も量も向上させることができるでしょう。

●講座の作成を自動化できる部分とは?

−講座内容からクイズやテストの作成
−アルゴリズムを使って講座内容を作る
−ユーザーのスキルに合うように講座の内容を自動的にカスタマイズする

 

8、映像と音によるオーグメント学習
AUGMENTED LEARNING

映像と音を強化したオーグメント学習によって学習者は環境をよりリアルに感じることができます。拡張現実(AR Augment Reality)のマーケットは2013年には6千万人でしたが、2018年までに2億人に増えると予測されています。

●オーグメント学習の可能性とは?

−QRコードの利用
−オキュラスリフト(バーチャルリアリティを体験できるヘッドマウントディスプレイ)を使った講座が作られる。
−学習者の居場所を活用した学習。GPSを使って学習者の現実生活に即した学習に引き込む。
−Apple WatchやGoogleGlassのアプリが講座を解説する。

 

9、企業でのMOOCs学習
CORPORATE MOOCs

大規模オープンオンライン講座(MOOC Massive Open Online Course)は有名大学で既に多く導入されています。近い将来、企業や団体などの組織でも利用されるようになるでしょう。

●企業でのMOOCs学習の可能性とは?

−社員研修。多数の従業員のための研修が可能。
−新入社員研修。会社のニーズに合わせて必要なスキルを学ぶ。
−SCRとして。社会的な認知度を上げたり、企業のナレッジやスキルを公開する。

 

10、クラウド型LMSの増加
RISE OF CLOUD LMS

LMSは衰退するという予測に反し、昨年市場が拡大したLMS。2015年も継続的に成長することが予測されます。クラウド型のプラットフォームがこの2年で急成長しました。

●クラウド型LMSにまつわるデータ

−LMSはこの5年以内に25%の伸び率で、2018年には7830億円の市場になるだろうと予測されています。
−クラウド型の管理ツールや学習プラットフォームの利用率は、2014年の北アメリカで、50%以上伸びました。

編集後記。

以上、今回もEducationXpressの記事から紹介しました。

なぜ私がオンライン学習に注目しているかというと、
オンライン学習はオフライン学習の形をどう変えるのか、
ということに関心があるからです。

大学ではアクティブラーニング導入の動きが加速しています。
学びの場がオンラインに広く広まっているのは確かですが、
オフラインの学びが消えることは無く、むしろ、
オンラインの学びとコンボで変革していくと考えられます。

オンライン学習を上手く活用することで、
オフライン学習において、学習者がより深い学習にたどり着けるにはどうしたらいいでしょうか?
(おんおふおんおふ、うるさくてすみません。。。。)

例えば、この2015年ホットトピックにあげられているビッグデータやパーソナライズ、という考え方をオンラインに持ち込めば、対面場面でグループ学習をする際、気にしなければならない、学習者の既存知識や学習履歴を即座に見ることができるかもしれません、そのデータを元にグルーピングをして、専門家集団を作ったり、または異なる学習背景を持つ人を組み合わせることも可能ですね。

個人的に、大学職員であった経歴からすると、「6、アプリプログラミングインターフェース APIs」があれば、大学職員のロジのある部分は、オートメーション化されてミス無くもれなく、無駄が省かれるのでは…と妄想してしまいました。

みなさんが注目されるキーワードはなんでしょうか?

2015.15.JAN
Yumi Wagatsuma
@yumiwagatsuma on twitter
 
 写真 3

▼出典:

●EdTech

“10 Online Learning Trends to Watch in 2015 [#Infographic]”
by D. Frank Smith

EdTech記事の元情報はこちら。
●eLearning Trends to Follow in 2015 [Infographic]
Posted November 18, 2014 by John Laskaris & filed under Opinion.
– See more at: http://blog.talentlms.com/elearning-trends-follow-2015-infographic/#sthash.URRzHGxJ.dpuf

via Education Xpress http://www.educationxpress.org/

写真:リーミンウェイとその関係展より於:森美術館